投資を始めようとする人は、まずNISAから始めますよね。
NISAは確かに良い制度です。
でも使い方によっては通常の口座での取引より損をする場合もあります。
本記事では知っておくべきNISAのデメリットと、どうすべきかというおすすめの運用法を紹介します。
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NISAとは?
通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかります。
NISAは、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度です。
金融庁HP
NISAは2014年から導入された、枠の範囲内であれば株取引の利益の税金が免除される制度です。
実は2013年までは株の利益に対する税金は10%でしたが、2014年から20%になりそれに合わせてNISAが導入されました。
最近でも同じようなことがありましたね。
そう、消費税増税です。
消費税を10%に上げるだけだと反対されるため、軽減税率を導入して導入直後の反感を抑えています。
このようにどんどん税率は上がっているんですが、政府はそれを導入するためにうまく考えています。恐ろしいですね。笑
少し脱線してしまいましたが、NISAは株の利益に対して税金がかからないという一見お得な制度となっています。
しかし中身を紐解いていくと実は色んなデメリットが隠れています。
NISA口座のデメリット
それではNISA口座のデメリットを紹介していきます。
- 損益通算ができない
- 損失の繰り越しができない
- 非課税期間終了後がややこしい
損益通算ができない
NISA口座最大のデメリットは、損益通算が出来ないことです。
2019年にA株とB株の2種類の株を売却して損益が発生した場合を例に考えてみます。
まずは①通常の課税口座のみの例です。
A株 | 課税口座 | +10万円 |
B株 | 課税口座 | -10万円 |
TOTAL | 0円 | |
税金 | 0円 |
A株は+10万円と儲けが出ましたがB株は-10万円のため、トータル損益は0円となり税金はかかりません。
利益が出てないので税金がかからないのは当然ですね。
次に②NISA口座のみの例です。
A株 | NISA口座 | +10万円 |
B株 | NISA口座 | -10万円 |
TOTAL | 0円 | |
税金 | 0円 |
NISA口座ではそもそも税金がかからないため、プラスでもマイナスでもその額がどれだけ大きくても関係なく、税金は0円となります。
問題は③NISA口座でマイナスが出て、課税口座でプラスとなった場合です。
A株 | 課税口座 | +10万円 |
B株 | NISA口座 | -10万円 |
TOTAL | 0円 | |
税金 | 2万円 |
これまでと同様にトータルの損益は0円ですが、税金は2万円取られることになります。
利益は0円なのに税金だけ払うという、仕組みを知らない人からしたら憤慨するような結果です。
これはNISA口座と課税口座がそれぞれ独立しているために起こってしまいます。
課税口座では、その年の課税口座内での全取引を足し引きしてトータルの金額に対して税金が課せられるようになっています。
ですので①の例のように、トータル損益が0円であれば税金がかかることはありません。
しかしNISAは税金がかからない独立した口座ですので、課税口座と損益の足し引きは行われません。
課税口座でのプラス分はしっかり税金を徴収され、NISA口座でのマイナス分と相殺されません。
損失の繰り越しができない
それに加え、NISA口座では損失を翌年以降に繰り越し出来ません。
課税口座では、仮に2019年に株で100万円の損失を出してしまっても、その損失を2020年、2021年、2022年の3年間繰り越すことが出来ます。
- 2019年にー100万円
- 2020年に+50万円
- 2021年に+30万円
- 2022年に+20万円
この場合、利益が2019年の損失と相殺されるため税金がかかりません。
このようの課税口座では株取引で損失を出しても救済措置が用意されています。
一方でNISA口座で100万円の損失を出してしまった場合、繰り越しは出来ません。
翌年課税口座で100万円のプラスを出した場合はきっちり20万円税金を持って行かれます。
勿論NISA口座だけでしか取引しないのであれば、プラスでもマイナスでも税金は全くかからないので気にする必要はありません。
しかし課税口座とNISA口座を使い分ける場合、NISAで購入する商品は慎重に選ぶ必要があります。
非課税期間終了後がややこしい
NISA口座の利用期間は最大5年間となっています。
仮に2019年にNISAで120万円の株を買った場合、2023年末までの利用となり、2024年になると課税口座に移されることになります。
- 2019年に120万円の株を買う
- 2023年末に150万円に値上がり
- 2024年になると150万円でNISA口座から課税口座に移される
- 180万円で売った場合、180万ー150万=30万円の利益にしか税金がかからない
このようにプラスの時にはメリットが大きいです。
しかしこれも、マイナスが出ていた場合には大きなデメリットとなります。
- 2019年に120万円の株を買う
- 2023年末に80万円に値上がり
- 2024年になると80万円でNISA口座から課税口座に移される
- 120万円で売った場合、120万ー80万=40万円の利益に税金がかかる。
つまり買った時と同じ120万円で売ったとしても、税金を8万円支払わなければなりません。
投資初心者には積み立てNISAがおすすめ!
NISA口座は以下のようなデメリットがある訳ですね。
- 課税口座との損益通算が出来ず、マイナス時に損をする可能性がある。
- 損失を翌年以降に繰り越せない。
- 非課税期間終了時にマイナスだと、その後値上がりして元値に戻っただけでも税金がかかる。
政府や証券会社はメリットばかりをPRしますが、デメリットもしっかり知っておく必要があります。
デメリットは全てマイナス時に現れるため、マイナスになった時には注意が必要です。
5年以内に確実に値上がりする株を買えれば良いんですが、それが分かったら苦労しませんよね。笑
それに5年というのは長いようで短い期間です。
3~4年後に順調に値上がりしてそろそろ売ろうかなと思ったタイミングで暴落が来てしまうと、暴落から回復しないまま非課税期間が終わってしまうリスクもあります。
そのため、投資に慣れていない方やこだわりがない方はNISAよりつみたてNISAがおすすめです。
つみたてNISAとは?
つみたてNISAは非課税枠が40万円でNISAの三分の一と少ないものの、非課税期間は最長20年と4倍になります。
これだけ長ければ長期投資のメリットもしっかり生かせますし、売り時も15年後くらいから考え始めれば十分です。
何も考えずに毎月積み立てれば良いのでほとんどの方におすすめ出来ます。
とにかくSBI証券や楽天証券などの手数料の低いネット証券会社で、手数料の低いインデックスファンドに毎月定額で投資しましょう。
もしNISAで運用するなら?
少し工夫した投資をしたい方向けにNISAを使う場合のおすすめの運用方法もまとめます。
NISAのメリットを最大限享受できるのは大きく値上がりする成長株の売買ですが、そんな株を見つけるのは難しいですしリスクも大きいです。
大きく得をするわけではないが大きく負けもしない、リスクが低い方法を紹介します。
2~3年経過前の高値圏で売る
非課税枠が切れる時期が近づいてくると、暴落を警戒しなければなりません。
ですのでギリギリまで待たず、1~2年は余裕を見て売ってしまう方がリスク管理上良いと思います。
もる
実際に私も2~3年運用したインデックスファンドを最近の高値圏で売って利益を確定させました。
米国ETFに投資する
ETFとは株の詰め合わせパッケージです。
実はSBI証券や楽天証券ではNISA口座での海外ETF買い付け手数料が無料となっています。
また個別株より値動きが小さく分散投資が出来るため、リスクも抑えられます。
米国株をNISAで買っても米国で10%課税されてしまうんですが、成長が期待できる米国市場に手数料無料で投資でき、しっかり配当金も貰える米国ETFはおすすめです。
ADR(米国預託証券)銘柄に投資する
ADRとは、米国以外の国の企業の株を米国取引市場で買える制度です。これの素晴らしい点は、先述した米国での10%課税が無いという点です。
つまりNISA口座でADR銘柄を買えば、売却益も配当金も全て非課税となります。
ADR銘柄では有名なところだと日用品のユニリーバや石油のロイヤルダッチシェル等があります。
配当利回りが高い銘柄も結構あるので、個人的には一番気に入ってるNISAでの投資先です。
ただし個別株になるので一つの銘柄に入れ込むとリスクが高くなります。
1株から購入出来るので、様々な銘柄に分散して投資するのがオススメです。
売却益ではなく配当狙いの投資であれば、売り時を考える必要もありません。5年間の配当が全て非課税という恩恵を受けることが出来ます。
NISA口座の落とし穴とおすすめ運用法の紹介でした
- NISA口座はマイナス時にデメリットがある。
- そのため初心者にはつみたてNISAがおすすめ。
- NISAで投資するなら、米国株やADR銘柄。
NISAはメリットが大きい制度ですがデメリットもあるので、投資を始めたばかりの人には気を付けて下さい。
もる
以上、NISA口座の落とし穴とおすすめ運用法の紹介でした。